Nocturune2005/10/15 01:57

雪降る夜
蒼鉛の空から
音を覆い
時間を消していく
ふと
街灯の下に
影が立っている
そんな気がした

満月の夜
蒼い影
世界中が無声映画
何もせずに
ただ想う
照らされた顔を
じっと見つめながら

雨降る夜
もの想う部屋で
独り
雨垂れの音を聞きながら
そのまま
深い闇に沈む


製作:1987年10月頃
備考:タイトルはエリック・サティの曲から

受胎告知2005/08/24 22:40

寒い世界にある寒い国の寒い町
寒いバス停を降りて
寒い住宅街の
寒い家にたどり着いた

寒い玄関から入って
寒いリビングを横目に見ながら
寒い廊下を抜けて
寒い浴室に入る


空の浴槽に膝を抱えて
座る全裸の
父がいた

寒いの?
寂しいの?
僕は蛇口をひねって
浴槽に湯を入れる

父は
ありがとう ありがとう
といいながら
湯に溶けていった





目覚める
暖かい光の中で
君から告げられる
喜びの知らせ



製作:2002年4月10日

砂と風2005/08/21 21:20

その一歩一歩を
確かめながら
ゆっくりと
砂の大地を踏みしめる
まるで
はじめて歩くように

僕は砂漠に行きたい

天蓋を仰ぎ
生理的な涙と
感情的な涙を流す
そして
陽炎の彼方を
向く

僕は地平線を見たい

砂の河に遭った
岸辺で嗚咽を漏らす
頭骨
水の一滴が
生命を育むのなら
砂の一粒が
生命を奪うのだ

僕は砂に触れたい

砂丘をつくる

水を奪う

時を刻む


僕は風になりたい
一陣の風になって
砂漠を旅したい



製作:1991年くらい