覚醒前の夢2005/07/13 01:56

今日も早く起きて犬の散歩だ散歩だ散
歩だ。でも体がダルくてダルくてダル
くて、布団から起きあがれないような
感じがするけど、行かなくちゃ行かな
くちゃ行かなくちゃ、犬が僕のことを
待っている。散歩に連れていってもら
うために待っている。だから、スーっ
と布団を抜け出してそのまま、着替え
るのを忘れたか、着替えたのを忘れた
のか、それすらも分からないまま、吠
えもせず、ただただただ座って僕のこ
とを待っている犬のところに行き、待
たせたね、さあ出掛けよう出掛けよう
出掛けよう。繋ぎとめていた紐を解き
放ち、手に持ちかえて川原に向かって
向かって向かって行くのだけれど、体
が動かず、動きたくても動きたくても
動きたくても、前に進めず。それなの
に犬はどんどんどん先に歩いて、それ
にあわせて紐もどんどんどん長く伸び
て、何もできないまま、どうしようど
うしようどうしよう、と叫ぶうちに風
景は次第に色褪せてとじめやみの中、
母の冷たい手が、そっと額に触れる。


分類:散文詩、一気読み(勝手称)
製作:2001年11月11日
備考:蘭の会「まな板の上にコイ!」2002年7月号入選